連載 今,なぜ医療経営学を学ぶのか 基本からわかる医療経営学・9
医療政策と病院経営
中島 明彦
1
1日本福祉大学福祉経営学部
pp.154-157
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100491
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
制度や政策をマネジメントするために
1.「組織→制度」アプローチの重要性
医療経営はサービスの公共性や専門性という特性のために,医療制度や政策に依存しています.そのため従来の病院管理論や医療経営戦略は,制度を所与として,それらを十分に理解したうえでその対応策を論ずることが主眼でした.しかし,政策を先取りしたり,政策の方向と異なるサービスを提供して利用者の支持を得ている事業者もいます.また医療経営にとって好ましい医療政策を導いていくという経営戦略も必要です.
本稿では,医療経営側から医療制度をコントロールすることが必要だと考え,政治学的視座の必要性を説きたいと思います.医療政策の政策過程に着目して,医療政策がどのように形成・決定され,実施されるのかという政策過程を分析します.これにより医療経営としては「いつ,どこで,どのようにボタンを押せば政策の窓(policy window)が開くのか?」が明らかになり,制度のマネジメントが可能になるはずです.
このような外部環境を積極的にマネジメントしようとする考え方,すなわち「組織→制度」アプローチが必要だと考えるのは,永年にわたり医療経営に携わってきた経験から,内部環境のマネジメントだけでは医療経営をよくすることができないと痛感したからです.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.