政治と看護界
政党と医療政策
水野 肇
pp.17-21
発行日 1963年1月1日
Published Date 1963/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911820
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ようやく医療に目を向け出した政党
一昨年の病院スト以来,日本の医療制度をめぐる問題が急に活発になってきた。当然のこととして,政界でもこの問題が検討されはじめ,自民,社会両党をはじめ,各党とも,真剣に取り組んでいる。病院スト以前の各党の医療制度へのかまえはひとくちにいって社会保障制度の“一コマ”として見ていた。しかも,この社会保障は,制度としての問題より,むしろ“選挙のさいに票になる”という感覚から社会保障をとりあげていたわけで,これまでは少なくとも選挙のスローガンに医療制度そのものがうたわれたことはきわめて少なかった。たとえ選挙演説で医療制度が候補者の口から出たとしても,それはきわめて抽象的なものでしかなかった。しかし,最近は各党ともだいぶんようすが変わってきたようである。いぜんとして社会保障の一環として考えてはいるが,社会保障問題のなかに医療制度小委員会を設けて検討しているし,各方面の意見もきいている。自民党では38年度政府予算にひっかけて9月18日に政調社会部会案として政府への要望事項を決めるとともに,党としてのいちおうの“かまえ”を示した。一方,社会党も政策審議会が9月22,3の両日,熱海で社会保障問題を検討,23日は医療制度だけで半日も討議するなど,ようやく政党でも“なんとかしなければならない医療問題”ということに気づきはじめている段階である。
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