書評
—池見 西次郎 編—「精神身体医学の理論と実際・総論」
日野原 重明
1
1聖ルカ国際病院
pp.44
発行日 1963年1月10日
Published Date 1963/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202732
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本書は,九州大学医学部に最近創設された精神身体医学研究施設の池見酉次郎教授によって編集された「精神身体医学(PSM)」のテキストである.後日各論が出版される由であるが,本書は総論であって,PSMの基礎をなす考え方や,精神身体症や神経症の分類,病因,診断や治療指針についてまとめられている.
精神身体医学は,日本では戦後に紹介されたものであるが,これを紹介する人によつて,様々な解釈が下され,学問的な体系としての発達は遅い状況であつた.臨床医学にたずさわる医師はもちろん,看護婦や保健婦,さらに医療社会事業に従事するものも,病む人間を取扱うためには,この精神身体医学を一応理解することが必要である.これは,池見教授もいわれるように,医学の一分野というよりも,医学そのものを形成する上に欠くことのできないものである.
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