特集 結核患者管理はいかされているか
いかされている結核患者管理—保健所長の立場から
白戸 三郎
1
1鎌倉保健所
pp.16-22
発行日 1962年5月10日
Published Date 1962/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202564
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1.結核患者管理が再発足するまで
2度にわたる全国結核実態調査の結果,日本の結核要医療患者の数は少しも減少せず,国民の3%を越える多数におよんでいるにもかかわらず,その多くが未発見,未治療に放置されている事実が明かにされたとき,私たち公衆衛生関係者は今更のように,昭和26年以来盲目的に実施されていた結核患者の届出,登録の事務や集団検診,クリニックなどの結核対策全般にわたつて大きな反省を行ない,その功罪についてきびしい批判を行なつたのであつた.
年々積もり積もつていく登録患者の数に,ただアレヨアレヨと驚くのみで,何ら根本的な対策が行なわれるわけでなく,僅かに保健婦諸姉の力によつて把握された一部の患者の実態が分つているだけで,大部分の登録患者については,その病状の良否,生死のほどすら判明しておらず,患者自身のなすがままに放任されていたのが,これまでの正直な姿であつた.
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