明日の保健婦事業のために
成人病対策における保健婦活動の反省
小宮山 新一
1
1神奈川県高津保健所
pp.20-22
発行日 1961年12月10日
Published Date 1961/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202470
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1.はじめに
成人病対策と一口にいう.これはまことに気のきいた流行語とでもいうべきであろうか.しかし具体的な対策を考えるには,一つ一つの疾病群に分けてみなければならない.ここでは,脳卒中ないし高血圧対策を中心とし,そのなかで特に保健婦の果す役割は何かということを考えてみたい.
対策といつても,(1)高血圧にならないように予防するには,どうすべきかという,ほんとの予防対策と,(2)すでに高血圧になつてしまつた人々を,それ以上悪化させないで,社会的活動を継続させるための生活指導,療養指導をどうするかという対策とに大別される.これをわりきつていえば,前者は狭い意味の予防対策であり,後者は治療対策ということになるが,もとより予防と治療とがそうきつぱり分離できるものではない.治療といつても,高血圧になつてしまつたものを全治することは,ほとんど不可能に近い.ただその進行をおくらせて,社会的な活動を続けながら,死亡の年齢を老年期まで押しやることであつて,これも広い意味の予防活動ということができる.
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