明日の保健婦事業のために
日本の成人病対策における保健婦業務
石垣 純二
pp.15-19
発行日 1961年12月10日
Published Date 1961/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202469
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成人病対策には拙速を
成人病対策の緊急性については,今さらいうまでもないと思います.年間70万の死亡者の55%が成人病ですし,死因順位の1,2,3,4位と成人病が並んでいます.
厚生省が現在,成人病対策について非常に慎重な態度をとつていることは,何処からも文句が出ない理想に近い成人病対策のパターンを作りたいという気持からで,その気持は諒としなければなりませんが,その間にもどんどん成人病で死んでいく人があるわけで,私は今のスロー・バット・ステディーという政策が果していいことかどうか大変疑問に思つています.現在の医学でも,例えば年間死亡9万をこえる癌のうちの8割までは助かる筈だと言われていますが,現在は逆に8割が手遅れで死んでいます.私は成人病対策については,もつと拙速を原則とすることを人命の尊重という点から強く希望しているわけです.
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