講座
母性と労仂〔2〕—女性と男性
大島 正雄
1
1母性科学研究所
pp.69-72
発行日 1961年10月10日
Published Date 1961/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202438
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1.女性と男性
「女も男も同じく人間です」
「男女は平等だ」
という声は今日別にそれほど珍らしい響きを持ちません.それどころか,それが当然というように考えるものです.男性と女性の間に差別があつて堪まるものかと意気込む方も多いのですが,しかし男性と女性という言葉のあることは,どこかに区別のあることを示しているのです.ところが講演の席で,今日の演題として
「女性は男性とどう違うか」と書きますと,どつと笑い声が出るものです.つまりいまさらそんなわかり切つたことをという意味なのでしよう.女性の人たちが男性に間違えられたこともないでしようし,同じ職場の男性を女性に間違えたこともないはずです.それは男性と女性の区別はあまりにも明白な,わかり切つたことと思い込んでいるからです.ところがわかり切つたことと思うことが,実は案外そうでないのです.試みに皆さんが,女性と男性との違いを一つ一つ採り上げて説明する段になると,今迄わかり切つていると思つていたことが存外わかつていなかつたことに気がつくと思います.
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