特集 統計を学ぶ
病気の数と病人の数
重松 逸造
1
1金沢大学・公衆衛生
pp.25-28
発行日 1964年6月10日
Published Date 1964/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203127
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病気と病人の違い
病気と病人がどう違うかということは,説明するまでもなくだれでも知っていることです.ところが実際に当たっては,しばしばこの両者が混同されるところに問題があります.要するに私たちが対象とするのは病人であって病気ではないということですが,病気を追いかけるのに熱心なあまり,病人のほうをつい忘れがちになるというのはよくある話です.
そのよい例は結核のような慢性疾患の患者にときどきみられます.やっと結核は治ったが,肝心の患者自身は肺機能が低下して動けない,長い期間の入院で療養ボケになった,復職するにも職がない,などといったことで再起不能になっていたという例が少なくありません.治療当初からのリハビリテーション計画が最近やかましくいわれだしているのもそのためでしょう.
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