コンタクトレンズ(17)
女大臣はなぜ歓迎されるか
長谷川 泉
pp.31
発行日 1960年9月10日
Published Date 1960/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202168
- 有料閲覧
- 文献概要
女大臣に,だいぶと人気がある.ということは女性にとつては悲しむべきことだ.なぜならば,女性は大臣になつてはならないなんて,誰もきめた者はいないし,そのことを許す条件があれば,いつでも女大臣は誕生し得た.だが,現実には,そのことは,中山女史が池田内閣に登場するまでは果たされなかつた.そして女性大臣第1号の中山女史は第1号たることで大いに喝采されたからである.つまり,女性は大臣たり得ないような定説,固定観念ができあがつていたのである.これは,女性のためには悲しむべきことだ.
女性大臣第1号は大野内閣なるものがもしできれば,それのとつておきだつたという.大野浪花節内閣は,鳩山未亡人を女性大臣第1号たらしめる予定であつたとも伝えられる.なるほど鳩由女史は,内助の功と言い,学校経営の才腕と言い,政治的見識と言い,教養人としての品格から言い,女性大臣第1号たるの資格を十分にそなえていたかもしれぬ.しかも大野内閣なるものが草葉の蔭の亡き親分に捧げる供養としては,まさに演出効果も満点のものではあつたであろう.一夜にして消えた大野内閣の浪花節的白昼夢としては惜しまれる要素もあろう.
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.