病院管理の現場から 事務長のひとり言
憎らしい人,歓迎
益田 啓作
1
Keisaku MASUDA
1
1横浜赤十字病院事務部
pp.621
発行日 1989年7月1日
Published Date 1989/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209610
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この原稿を書いている4月,樹木が葉を伸ばし,野山が緑になってゆく.枯れた芝生がグリーンになってゆくのを見ると,ゴルファーは胸を躍らせる.7月の太陽の光を浴びて繁茂している植物を見ると,自由に好きなところを選んで生えているように思われる.しかし,現実に野外調査をしてみると,決してそうではないという.日本はもちろん,赤道直下でもバイカル湖周辺でも,植物は各自が最も好む場所には生育していないと植物学者はいう.
まず一種類の植物だけが生えていることはほとんどない.多種多様な植物が入り混じって生育している.したがって,お互いに競争し,ガマンして共存しているというのである.ゴルフ場のグリーンには100%ノシバまたはコウライシバが生えているようであるが,90%も生えていれば良いほうで,あとの10%以上は他の似ても似つかない雑草である.それではこれが悪いかというと決してそうではない.もし人が100%にしようと思って,虫メガネとピンセットで雑草を全部抜き取ってシバばかりにすると,夏の終わりごろヨトウムシでも発生すれば,一夜でシバは駄目になってしまうという.
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