保健所保健婦に望むもの
これからの保健婦の道
栗原 忠夫
1
1神奈川県小田原保健所
pp.51-53
発行日 1960年7月10日
Published Date 1960/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202133
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公衆衛生活動の中における保健婦の存在は従来確に輝かしいものを持つていた.然し次第に保健所が整備され,拡充されるにつれて,何かその輝きがうすれて来たように思う.現在でも保健婦は公衆衛生活動の上において最も重要なまた最も大きなグループであることは従来と少しも違つてはいない.それだのにその存在全体に何か迷いが漂い,積極性が淡くなつて来たような気がする.
公衆衛生活動とは,個人あるいは社会生活の中にある健康を阻害するいろいろな因子を,個々の,あるいは組織的な衛生実践で出来るだけ排除して行うという一つの社会運動であるといえる.従つてこの活動について人々がその必要なことをよく理解し,自主的に実践してくれて,始めてその実効が期待できるのだと思う.すなわち公衆衛生思想が生活の中によく滲透して,日常生活の中で自然のうちにそれが具現化して行くような状態になつて始めて目的が達成されたといえる.
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