講座
地区の人々の健康を守る活動—特にボーダーライン層のために
救仁郷 よしえ
1
1社団法人社会福祉友の会
pp.49-53
発行日 1960年4月10日
Published Date 1960/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202070
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地域社会の健康を守り,且つこれを高めるための方法については,少しずつ軌道にのつて来たようにも見えるが,まだまだ手のつかない部分や,その具体的方法についても,まちまちで一貫した機能的な動き方になつて行かないようである.行政的に一把一からげで片づけられない面もあろうし,保健所活動の点から見ても末端まで行きわたらせることは現在の枠から見ても無理ではないかと思かれる.これについては民間の地域活動を育成してゆくか,または地区組織の利用についてもつと考慮されねばならないであう.しかし,いずれにしても地域人のニード,つまり地区の人々は何をどのようにして欲しているかが出発点にならねばならないであろう.そこで地域人の欲求の水準が問題になつて来るのであるが,これはその時代の経済的,文化的水準によつて規定されるであろうから普及活動の必要性もその点において大きな意義を持つのである.
私が保健所活動の一端にいて,保健所をケースワーカーとして10年,民間地区活動の中に3年を過した.この中で,地域社会のニードを知ることでは依然苦労を重ねている.この間の失敗や成果等をふりかえり,ここで簡単に私どもの活動の足あとを記して見たい.多少でも御参考になる点があれば幸と思う.
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