社会への第一歩 卒業生から先生への書簡
土地の人になりたい
荒 雄子
pp.45-46
発行日 1960年4月10日
Published Date 1960/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202066
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毎日の生活にもようやく落ちつきを得て参りました.あまりの御無沙汰にペンの下しようもわからない程ですが,この土地についてからをお便りさせていただきます.
村田町の中心,バスの駅に降りて,私の眼をひいたのは,軒並にある土造づくりの家々でした.「戦争前迄は地主町と云われ,大金持がここに住んでいてね……」と語る土地の人達の言葉に耳を傾けながら,その軒並を見上げると,家々の固い壁,重い扉等古めかしい造りの陰に,この町,この家々の歴史をしのばせられます.
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