調査報告
フィリピンにおける日本住血吸虫症の駆除と土地の文化
田中 寛
1
1東京大学医科学研究所寄生虫研究部
pp.360-365
発行日 1976年5月15日
Published Date 1976/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205193
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I.はじめに
世界中で住血吸虫症の罹患者は,ほぼ2億に達すると推定されている.その患者の多さからも,病原性の強さからも,寄生虫症の中で最も重要なものの1つとされている.人の住血吸虫症の3種の中,アフリカにはビルハルツとマンソン住血吸虫が,中南米ではマンソン住血吸虫が,東洋では日本住血吸虫,Schistosoma japonicumが分布しており,最近まで日本でも地方病として重要であった.
フィリピンでは全面積の10分の1が日本住血吸虫の浸淫地であり,浸淫地内の人口は約300万人にのぼり,約50万人が罹患していると推定されている.
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