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ハイライト
T
pp.65
発行日 1960年1月10日
Published Date 1960/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202017
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悪性腫瘍
全国的に対癌協会ができたり,東京に国立の癌センターができたりして,癌に対する関心が高まつてきたことは結構である.最近厚生省から昭和33年度の悪性新生物実態調査成績が発表されたので,この中から話題をひろつてみよう。33年中に一般病院に入院した患者は約1万3千人で,40歳以上が勿論多いが,約300名は20歳以下で40歳以下だけで全部の約15%もあることは気をつけなければならない.部位別にみると,男では消化器系が70%で,以下呼吸器系10%(大部分は肺癌),女の場合は女性器が42%,消化器31%,乳房12%となつている.胃癌の発生率は,男女とも日本海に浴つた北陸地方に多く,子宮頸癌は中国,九州地方に多いのは,注目に値する.これは今迄の報告にも繰返しのべられたことで,地理病理学の発展にこの解明を期待したい.この調査の中で,意外なことは癌と診断されていながら病理組織学的に検査されたものが僅か55%位しかないことである.
次に手術できたもの及び根治手術のできたものの割合は約50%が手術されているが,その中の70%は根治手術をうけている.全入院悪性腫瘍患者の35%は一応根治手術をうけており予後も良好と考えられる.
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