映画紹介
めざめ
外輪 哲也
pp.55
発行日 1959年7月10日
Published Date 1959/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201911
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(独・ウルトラ・フィルム作品)
子供の世界から大人の世界への成長期,このハイティーンの生熊は,今や世界各国の大きな社会問題となり,映画でもこの青春期をとらえた作品が続出している.日本映画の青春物の大半がこの範疇に入るし,最近ではアメリカの「青春物語」フランスの「危険な曲り角」イタリアの「三月生れ」などいくつかの話題作が出ている.この作品は,そのドイツ版とでもいうべきもので,若い息吹きの生態と,女としてめざめて行く過程が見事に描かれている.
ベアーテ・ショルレマーは,金持ちのホテル経営者の娘で,何一つ不自由のないお嬢さんだが,生徒間ですばらしい人気があるアカスト先生を思慕している.ベアーテは,この先生に自分の存在を知らせようと懸命になり,先生の息子が自分を恋しているのを知つて,彼から近づこうとする計画をたてるが,失敗.わずかでも先生から感情の表現を受けたいという願いは,空しく終る.その上,若くてスマートな女教師ベルク先生が赴任して来て,アガスト先生の結婚相手に考えられるようになる.ベアーテは,強敵とばかりに競争意識を出して,学校の祝祭の時,偏頭痛のマネをして関心をひこうとするが,これも失敗.次第に愛情は憎悪に変わり,先生と息子の仲をさくことに失敗すると,今度は先生に道徳的違反行為があるという疑いをかける.
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