映画の時間
—少しだけ孤独で,少しだけ幸福な11歳の僕の,人生のめざめの冒険がいま始まる!—恐竜が教えてくれたこと
桜山 豊夫
pp.279
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209373
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大人になると,子どもの時分にどんなことを考えていたか,普段はあまり思い起こすことはありません.しかし,記憶をたどってみると,結構,難しいことにも思いをはせていたようにも思います.本作の主人公のサム(ソンニ・ファンウッテレン)は11歳ですが,死や孤独について思いをめぐらせている繊細な男の子です.バカンスで家族と共に観光地のテルスヘリング島へ来ています.サムが砂浜に掘った穴に彼の兄が落ちて足を骨折し,父親は兄を本土の医療機関へ連れていくことになります.サムの母親は頭痛でコテージで休んでおり,島に残ったサムはぶらぶら島を歩いていて,ちょっと変わった女の子テス(ヨセフィーン・アレンセン)に巡り合います.
テスはシングルマザーの母親と二人で暮らしており,彼女の父親は火山の噴火で死んでしまったといいます.母親は島の診療所で働きながら,観光シーズンには観光客にコテージを貸して生計を立てているようです.サムはテスの突飛な行動に振り回されながらも,だんだんとテスの魅力に引き込まれていきます.
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