特集 私たちの団結をはばむもの
住民の権利意識をめざめさせる力になりえているか
山室 多巳恵
1
,
森田 てる子
2
1大阪市浪速保健所
2大阪市西成保健所
pp.14-17
発行日 1972年3月10日
Published Date 1972/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205044
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住民の権利意識は
現在公害を中心とした住民運動が各地で展開されつつある。これは個人の意識だけではどうにもならず,行政に頼っていては解決しないと,住民自身が立ち上がったのである。むしろ行政にあるわれわれが,被害住民の意識に対応した姿勢がないとき,住民はわれわれに対する不信を表わし,われわれの怠慢を批判するであろう。従来の行政のように,住民の参加の少ない,お役所まかせではだめだという住民の危機意識の表われでもある。
戦後の高度経済成長下に生み出された公害は,生活環境を破壊しつつあり,住民はいやがうえにも生活の場に目を向けざるをえなくなっている。したがって従来行政のとってきた官僚的な体制のもとではなく,住民意識がかつてないほどに目ざめているときにこそ,この潜在的な力を基底にして,人間的な生活環境作りの最後のくい止めを住民とともに行なうべきであると思う。
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