連載 道拓かれて—戦後看護史に見る人・技術・制度・14
人間として看護婦として—めざめ
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.182-185
発行日 1998年2月1日
Published Date 1998/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905534
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組合事務所は景観を損なう?
巷では億ションといわれる豪雄なたたずまい,病院の新築に伴う土地の整理の後に建ったこの高層ビルも,どうせ庶民には手の届かぬと思えば,そこにあるだけの存在で,たいして気にもしなかった.ところが,ある日,その超高級マンションの住人から病院当局に申し入れられた苦情は,病院の裏手にあるみすぼらしい建物が,マンションの景観を損なうので取り除いてほしいというのだ.
病院の裏手に位置し,表玄関からは決して目に入らない小さな小屋.低地にあって舗装もしていない通路は,雨でも降れば白衣の裾を泥水で汚さずに横切るのが難しい.これが,1000床を擁する病院の労働組合の事務所と誰が想像できよう.工事現場で風雨を避けるための一時的な道具置き場のような小さな小屋である.小さくとも,ここで職場のさまざまな実態が話され,要求実現に向かうホットな討論が,職種や職位を超えて行なわれる.
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