読者からの手紙
保健婦の話題
橋本 怜子
pp.9
発行日 1959年7月10日
Published Date 1959/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201899
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1年ぶりのお懐かしいお便り有難うございました.農村で地道に努力していらつしやる貴女のお姿に全く心から打たれ,追いかけられた仕事の渦中で沈滞気味だつた私の心の中に明るく火がともされた様な気がします.都会の保健所で何を考え何をしているかと云うお尋ねに保健婦室の最近の話題,動きを簡単にお知らせします.
(その1) 従来より結核患者の管理は保健婦の責任となつておりケースの把握が完全に出来ず,種々の方向より訪問基準をたててみても正しいCaseの把握が行われない事を痛感して中央管理方式がなされる事を保健婦の立場から熱望していましたが,この4月から私共の保健所でも中央管理がなされる事になりました.私達は自ら計画する事なく管理者より訪問命令をうけて訪問すればよいのです,でも管内人口30万,対象が大きい為に新管理方式自体行う事が不可能なのか,専任職員が得られない為か,何処かのパートでやる気がないのか,所内の諸業務が合理的に整備されていない為か等々により一向に軌道にのりません.整理記載も管理要項にこだわらず,セクト主義を固執する事なく,大いに保健婦は張切つているのですが,誰が管理するのか前途程遠しです.「結核オンリイ」の保健婦の異名を1日も早く返上したいものです.部屋の片隅で「保健婦もフイルム読影出来ないといけないのかしら」悲壮な責任感の現われのつぶやきに,居合せたもの,同感と苦笑を禁じ得ませんでした.
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