特集 母と子をまもる保健婦
児童福祉から保健婦へ
吉見 静江
1
1厚生省母子福祉課
pp.61-63
発行日 1959年5月10日
Published Date 1959/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201861
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我国においては児童福祉法が実施されてからすでに10年余過ぎたのであるがこの間保育所は年年新設されて,法制定当初この法によつて吸収された約1500カ所のものが現在は9419ヵ所にふえているのである.それでも保育所のない町や或はあつても,幼い者には通いきれない距離のひらきがある等の理由から,保育所増設の要請がたえないのである.保育所は児童福祉施設の中で一ばん地域的つながりの強い,大衆に親しまれている施設である.
しかし乳幼児であれば誰でも保育所の対象になるかというとそうではないので,この対象となるものは,家庭において保育に欠ける乳児,幼児,又はその他の児童(学童)という事に規定されているのである.つまり共稼の家庭,或は片親でその人が外勤すれば,家には誰もいなくなる場合,或は家内工業等で家が工場化されて危険であるとか,衛生上良くないとかで,子供の生活の場がそこなわれているような場合,或は長わずらいの病人があるとか,その他複雑な家庭事情のあるもの等が入所の措置を受ける事が出来るのであつて,現在では650,567名のこのような児童が入所しているのである.これを全国平均して見ると人口1000人に対して7人の子供が保育所に行つている事になつているのであるが,しかし実際は東京,横浜,大阪,神戸等の大都会では僅か人口1000人に対して3,4名位の子供しか入つていないのが実状である.
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