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結核患者管理方式に於ける保健婦の役割について
内田 靖子
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1国立公衆衛生院看護学部
pp.17-21
発行日 1959年3月10日
Published Date 1959/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201822
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1.現在の結核患者の実態について
厚生省が昭和28年度に実施した結核実態調査によれば我国の結核患者数は要医療者292万人,要休養者32万人,要注意者229万人を合せると553万人となつており,その後の患者数の推移は諸種の資料からの推計によると28年から5年間に約1割は減少しているものと言われている.又毎年新に発生する患者は健康者より発生するものが38万人残り38万人は要観察程度の者より発生しているということである.年次別結核患者の届出数は第1表に示す如くである.
現在年間約52万人の届出であるから二重届出の20%を引いた数41〜42万人が年間届出の実数となるわけである.又現在迄の届出患者累積数は全国約500万人であり,この内大体1/3即ち160〜170万人が現在患者数で要医療程度の者だけでは120万人位と推計されている,実態調査時との数の差は届出されない患者或は未発見患者によるものと考えられる.尚健康診断による発見患者数の年次推移をみると29年15万人,30年10万人,32年11万人と年々減少しているが,健康診断受診率を実施義務者別にみると学校長86.1%,業態者その他35.4%,使用者29.1%患者家族24.2%,市町村長16.7%の順になつており,最も罹患率の低い生徒,児童を対象とする学校長の分が受診者総数の57%を占めている.患者発見という目的からみればいささか矛盾しているのではないかと考えられる.
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