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岩手縣のチベットに於ける保健婦活動
杉村 広郎
1
1岩手県岩手保健所保健予防課
pp.53-56
発行日 1952年5月10日
Published Date 1952/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200285
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『木炭の王国』岩手県は,その70%が山林牧野で占められているが,就中こゝ岩泉町を中心とする下閉伊郡の北部一帶は,"岩手のチベツト""東北の高原"と言われ,山又山に囲まれた全く未開発の僻地である。山一つ越せば子守唄の調子まで変るというのがこの地方の実情でもある。そしてこの地に住む人々は昔ながらの炭燒きと猟に,その原始的生活を営み,更に極度の迷信と,深く根をおろした封建性に,強く支配された日々を送つているのであろ。
だから,公衆衞生という一面をとり上げてみても,仰天する程の無智と馬鹿げた純朴さが至る処に転がつて居り,文化とか社会保障制度とかいうような言葉もこの地方では通用しないものの如くに,程遠い将来の光明として,かすかに鈍い光を放つているに過ぎない。
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