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編集者から読者へ
長谷川 泉
1
1編集部
pp.10
発行日 1957年7月10日
Published Date 1957/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201444
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- 文献概要
保健婦さんほど,自信を持って対人関係を処理しなければならない職業はないでしよう.それは,日常の話しかた一つにもあらわれ,動作一つにもあらわれる性質のものです.保健婦さんが,社会の灯であるためには,女性らしい挙措のなかに,強い自信が輝き燃えていなければならないでしよう.
しかし,保健婦さんとても,やはり風にそよぐ葦であることには変りはありません。常に見つめられる灯となる自信なんて,そんなにたやすく,一朝一夕にでき上るものでしようか,という反問も出てくると思います。人間の自信というものは,職業意識に連つた場合に最も強いものとなります。その意味では,毎朝起き出たときに「自分は保健婦だ」という聖なる職業意識がかきたてられたら,1日の心がまえはどんなに変るでしよう。そして,どんな小さなケース,ささいなことがらでも,それを通して,反省と明日への発展のなかでものを考えてゆく習慣のなかに生きてゆけば,その1日が見ちがえるように違い,その1年が見ちがえるように有意義になり,その10年の一昔はすばらしい飛躍のなかに刻まれるようになるでしよう。このことは,私たち編集者にとつても,心すべきことで,実は自分で自分に言い聞かせていることがらなんです.
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