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"私の楽しみ"に想う
黒野 芳江
1
1安城保健所
pp.70-71
発行日 1956年9月10日
Published Date 1956/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201273
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名古屋より東に30粁,日本のデンマークとして余りにも有名な人口50万余安城市の中央に安城保健所が有ります.管内保健婦活動の概略を申しますと,1市2カ町2カ村でありまして,現在では全市町村に1名の保健婦が勤務し,保健所長,市町村長及び衛生課長各位の深い協力のもとに各各出来得る限り,結核,母性未熱児の家庭訪問に,家族計画,集団姙婦,乳幼児検診等地区民の衛生教育に専心しています.保健所保健婦は婦長を除いて3名,安城市を分担し人口約1万余受持つています.幸い当保健所には所内クリニツク専任看護婦がクリニツクの全責任をもたれ,私達保健婦は,各自週2回処置係を受持つ程度にて後は専ら訪問事業に出られる事になつています.保健婦のよろこびとして,常に想つている事はやはり訪問の折相手に心から信頼され,指導した事が実行に移された時,又あるケースに対してあらゆる困難をきり開いて目的へ到達された時,しみじみと保健婦と言う職業的よろこびを感ずるのであります.
昨年だつたか,地区全生活保護家庭の訪問を実施した折の事でした.焼けつく様な夏の真昼老夫婦二人の家庭を訪問,主人は胃けいれんと喘息で身の自由もきかず,妻が細々とわずかの畑を耕して生活して居る.部屋は薄暗く炊事道具と衣類と一諸におかれ全く見るもあわれな状態…….この様な生活の為近隣はおろか親類間に於ても冷たい態度に変つて来たと語つていた.
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