講座
小児急性伝染病と後遣症
森重 静夫
1
1駒込病院
pp.33-36
発行日 1956年7月10日
Published Date 1956/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201230
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Ⅰ.はしがき
現在我国内で見られる多くの急性伝染病に罹る人は,その病気の種類によつても多少違いますが,その大部分は小児期のもので,私どもの病院に入院する急性伝染病の患者の数から見てもその約70%は小児期の患者です.最近は色々な抗生物質が発見せられて早期に適切に使用すれば病気によつては軽く経過して生命の危険にまでも至るようなことは少くなりました.しかしまだバイラス性の疾患の中には十分に効果を持つ抗生物質がなく,抗生物質の効く疾患でも使用の時期や量その他の原因で死亡者も可なり多く見られ,病気によつては急性期は過ぎてもその後に後遺症として色々な障害を起すものがあります.これ等の後遺症の中には一定の年月の経過と共に漸次恢復するものもありますが,中には一生涯不治の状態で残るものも少くありません.
ここでは,後遺症が多く見られる小児急性伝染病について記して見ましよう.
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