特集 公衆衛生50年の回顧と展望
急性伝染病の回顧と展望
福見 秀雄
1
Hideo FUKUMI
1
1長崎大学
pp.27-29
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207181
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急性伝染病猖獗の頃を回顧し,近年におけるその変貌について,この頃私の思うこととして機会を見つけては書いたことがある1〜4).実際わが国の急性伝染病は近年すっかりその様相を変えてしまった.
病原微生物学が確立したのは19世紀の後半である.コッホが結核菌を発見したのは1882年であるし,コレラ菌の発見は1883年,エベルトによるチフス菌の最初の記載は1880年とされている.北里柴三郎が日本政府によってドイツに派遣されたのは1885年11月で,コッホの門に入って細菌学,伝染病学の勉強を始めたのは1886年であった.1891年帰国した彼は大日本私立衛生会において伝染病研究所を創立し(1892年),これよりわが国では病原微生物学と伝染病学の研究と活動が始まったと考えてよいであろう5).
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