Japanese
English
特集 頭部外傷
重症頭部外傷後遣症のリハビリテーションの経験
Experience of the Rehabilitation for Sequelae with Severe Head Injury.
笹生 俊一
1
,
松浦 与志子
1
,
大東 章
1
Shun-ichi Saso
1
,
Yoshiko Matsuura
1
,
Akira Ohhigashi
1
1国立療養所宮城病院理学診療科
1Department of Rehabilitation, Miyagi National Hospital.
キーワード:
頭部外傷
,
リハビリテーション
,
不随意運動
Keyword:
頭部外傷
,
リハビリテーション
,
不随意運動
pp.425-432
発行日 1982年4月10日
Published Date 1982/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104735
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はじめに
頭部外傷は,脳に代表される中枢神経系の障害であり,したがってその後遺症の病態も原則的には,片麻痺の形態をとるのが一般的である.しかしながら,脳血管障害,脳腫瘍などとは異なって,外傷ゆえに頭蓋内病変の生じ方も,不規則,散在性の場合が多く,それが後遺症の病態を複雑にしており,リハビリテーションを行うに当ってしばしば困難な局面を展開する.
このような観点から,頭部外傷後遺症のリハビリテーションにおいては,病態の確実な把握をはじめ,特別の配慮が必要である.すべての中枢神経障害を含めて,その後遺症は表1のごとくである.これらのうち,不随意運動,筋過緊張,中枢性疼痛は,極めて難治性のリハビリテーション阻害因子として,従来のいかなる治療法でも解決不可能な病態であった.実際にある麻痺以上に運動を障害し,リハビリテーションを困難にするばかりか,時として,リハビリテーションの施行そのものをも拒否しかねず,かつ,難治性のゆえに医療の恩恵に与かることなく放置されていることが多い.近年,脳神経外科の発達により定位脳手術による視床破壊という技法で解決されることが多くなった.
頭部外傷後,不随意運動,筋過緊張を主症状とする複雑な病態を示した症例に,定位脳手術を適応,リハビリテーションを可能とした2症例を報告する.
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