特集 慢性疾患—明日の公衆衛生のために
蓄膿症
西端 驥一
1
1慶大
pp.132-138
発行日 1956年5月10日
Published Date 1956/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201194
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蓄膿症とは正確に云うと副鼻腔炎である.この副鼻腔炎の中で分泌物が腔内にたまつているのを蓄膿症(エンピエーム)と吾々は特別に云うのですが一般医学界特に世間では蓄膿症即副鼻腔炎として通つています.それでも良いのですが患者が「あの先生は蓄膿症と云つたが別の先生はそうでないと云つた」と云う訴えの中にはこの解釈の相違が含まれている事があります.
この疾患は云う迄もなく細菌感染が主因です.と云うのはアレルギーも関係する事が尠くないからです.起炎菌には特別のものはなく一般の化膿菌でしてインフルエンザ菌,緑連菌,葡萄状球菌,溶連菌,肺炎菌等です.併しグラム陰性菌が起炎菌となつている事もあります.但し歯から起る場合は之と異つた細菌が見られます.
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