2頁の知識
虫の越冬—環境衛生の見地から
佐々 学
1
1東大
pp.40-41
発行日 1956年3月10日
Published Date 1956/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201137
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冬の間,蚊やハエはどこにいるか.まさか彼等が春になつて水たまりやゴミだめからひとりでにわくのでない以上,彼等はどこかに潜んでいるにちがいない.こういう時に一気にやっつけたらさぞかし夏になつて蚊もハエも,その他もろもろの害虫のいない世界が作れるだろう.これが,この頃やかましくいう"越冬昆虫駆除"という考え方です.
しかし,この仕事は大へん威勢がよく大いに環境衛生上結構なことですが,専門家の立場からみると,すべての場合にうまくゆくかどうか自信のない事と告白します.実は,現在の学問の段階では,まだどうして越冬するか分らない虫も多いからです.しかし,これまでの苦心の研究で,越冬の状態がかなりよく分つている虫,そして,その駆除が冬にやると能率がよいという場合もいくつかあります.
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