母子慰安実技講座
楽しく朗かに(11)
粟津 実
1
1児童文化財研究所
pp.37-39
発行日 1956年3月10日
Published Date 1956/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201136
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3月3日のひな祭は,古典的に上已の節句と,五節句の一つとして呼ぶよりも,桃の節句と季節の花名で呼ぶか,単に『ひな祭』といつた方が,したしみがあるように思う.年に1度の女の祭であるが,ひな祭は夫婦びなが中心であるから,女子の独占であるともいえない.随身や五人囃子,三人上戸など,男も沢山ならんでいる.ひな祭の由来について語るのが本講の日的ではないし,2月末になると新聞のホームセクシヨンあたりが解説を掲げるから便利である.
子供を中心に考える時,ひな人形なしにひな祭は出来ない.軸物などではたよりない,何としても女の子にはひな人形を与えたいものである.万金を積んで求めたひな人形も結構であるが,どこの娘にもそれが与えられるのではない.又,幼児にとつては,高嶺の花式に自分達でさわることの許されないひな壇の人形は飾つて貰いながら痛し痒しであろう.紙びな様でもいいから,真実に我がものとして,心ゆくまでに遊んでみたいのが本心であろう.
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