楽しく朗かに（7）

　「レスリングを習つてみたい」そんなことをいう保健婦さんがいる世の中になつた．別にその人はプロレスになる気はないのだが，青春の情熱と燃えるエネルギーを発散させる場にそれを求めているのだろう．

　少年補導委員として，"子供の日"其他の行事に子供本位の催をするが，どうしても少年本位になりがちである．私は長い間女子教育の畠にいた関係で，いや今もなお看護婦を教え保母を指導しているのだが，そのためか女の肩を持ちたがるようだ．大正10年といえば30余年の昔になるが，封建的な平安京都で，女子用のボキシンググローブを注文したのは私だつた．馴れないE運動具店はトテモ固いグローブを作つたので，型しか練習させられなかつたが，アメリカ映画で女優クララボウがそんなものを振廻した時代より少々先駆したところに私の若さがあつた．