2頁の知識
牛乳の低温殺菌と高温殺菌
中野 竜雄
1
1公衆衛生院
pp.48-49
発行日 1955年6月10日
Published Date 1955/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200968
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昨年の九月以降原料牛乳の値下げ問題は低温殺菌,高温殺菌の問題に波及し,厚生省と牛乳処理業者は低温殺菌万能を,農林省と生産者は一部高温殺菌の普及を称え,お互にゆずらない状況にあり問題はまだ未解決の状態にある.
では一体なぜこんな問題が政治問題化してまで争われなければならなかつたかということになるが,問題は5年程前にさかのぼつて昭和25年牛乳処理業者,全生産者並に学識経験者の反対をおしきつて,厚生省が従来の高温処理施設を低温処理施設に切換えたことにはじまる.それまでは日本の市乳処理は99%迄が高温殺菌法によつて行われていたが,同年の厚生省令で一部都道府県知事の認めるもの以外は全部低温施設に切換えたため,従来の処理業者の大多数は多額の資金をかけ近代的様式の低温施設に切換え,問題が起つた当時は全処理業者の70%迄が切換えを終つていた.従つてコストの低い高温処理場が出来ては商売上困ると言うのが業者側の本心であろう.
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