histoire de la chirurgie 外科史外伝—ルネッサンスから"外科の夜明け"まで・8
殺菌,滅菌以前の外科
大村 敏郎
1
1川崎市立井田病院手術室
pp.1357-1360
発行日 1982年9月20日
Published Date 1982/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208127
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□足ぶみの弁
このシリーズの初めの頃は1月毎に50年ずつ時代が進んできたのだが,19世紀に入つてから時の流れが前へ進まなくなつてしまつた.革命を境に外科医も内科医と同じ教育をうけた者がなり,もはや手による技だけの世界にとじこめられることなく,大きな飛躍をとげるし,医学全体も病院という密度の濃い力を発揮する場を得たことによつて,初めは上流社会の利用者は少なかつたが,ここで医学と医療がしつかり結びつくようになつてきた.そうなると新しい考え方・新しい技術が次々に生まれ,今日われわれが行つている医療のルーツとなるさまざまな事象が積み重ねられて,書きとめておきたいことが多くなつてくるのである.
そこで,時代を細分して,それぞれの時期の進歩を追いかけていくよりも,多少時代を前後してもテーマ別にひとまとめにした方が理解しやすいと思われる.前回,医療の場としての病院について書いたので,今回は技術として19世紀初頭はどのようなことが行われていたのか,いくつかの例をあげてふりかえつてみたい.その後に人物を中心にまたは学問を中心に角度をかえて検討してみようと考えている.
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