講座
未熟児に関する最近の問題
斎藤 文雄
1
1愛育研究所
pp.6-11
発行日 1955年2月10日
Published Date 1955/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200894
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.未熟兒とは
この問題は既に国際的にきめられた定義に従つて吾国でも生下時体重2.5キロ以下となつている.ここで一応とりあげておきたいことは,国内各地の衞生統計などみると,未熟兒として2.5キロ兒が省かれていることである.国際的なとりきめでは2.5キロ又はそれ以下で生れた子と定義してあり,明かに2.5キロは含まれている.この点誤解のないように統計を作つて貰わないと各地の統計が比較できない.2.5キロの出生兒は割合に多いので,これを含むと含まないとでは統計の上に大きな誤差が出る.
臨床的にいつたら吾国では2.5キロで抑えるのは少し点が辛いという批判も生れる.たしかに未熟兒として特別扱いにするのは,もつと小さい体重で生れた子であるが,国際的に統計上きめた問題は,そのまま採用して統計をとらないと国際的な価値がなくなる.臨床的な取扱いに関する処置は,吾々が国内操作として決めてゆけばよいのである.
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.