今月の言葉
しんせつは上手に
pp.5
発行日 1955年1月10日
Published Date 1955/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200874
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"ごしんせつありがとうございます"とはお互いよく使う言葉でありますが,本当にしんせつにしたり,されたりという経験は,この言葉を使う程にはないのではないでしようか.口でいうしんせつや,儀礼的な贈答のしんせつではそして何でもないことでも,其の人の心から出たことで,行動の上にあらわれた具体性のあるしんせつということですが,仲々いざとなると出来にくいものです.
外国との交通が盛になり沢山のお客樣を送つたり迎えたり,国際親善も忙しくなつて来たこの頃では,飛行場のゆききだけでも仲々一仕事になります.そうでなくても一つのきまつた仕事をもつている私共は,それ丈余分になるためのことにいつもいい顔でばかり接しられないなやみももつています.それに自分でしなければ,しんせつでないみたいな考えも伴つているようですが,それはそうでないことを知る機会をもちました.はじめて送つた全然しらない人とても,直接紹介してもらつた人でなくても,充分たのしい時をすごすごとが出来るものです.自分自ら時間を都合することの出来る場合に,自分の友人や知人を,直接お客さまのところにおくつて先樣同志で好きなようにプランしてもらう.それでもお客樣をもてなす礼は少しも失していないわけです.旅行先きでの或日曜日,一緒に郊外にドライヴする予定だつた私の直接の友人は,急に都合がつかなくなつて從姉という人が其の友達と二人で訪ねて来て,三人で遊びにいつたことがあります.
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