映画紹介
地獄への退却
M
pp.45
発行日 1954年6月10日
Published Date 1954/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200755
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朝鮮戰乱中,最大の悲劇"アジアのダンケルク"と呼ばれた国連軍が南海岸に圧迫されたときの海兵隊の悲壮な奮闘を描いたものである.アメリカ本国で平和な家庭生活を営んでいたポール・ハンセンも妻と愛兒2人を伴つてペンドルトン基地の將校宿舎に入つた.20才に満たぬ末子のジミイも父や兄の跡をついで海兵隊の一員に加わる.まだ生意気盛りのジミイは基本訓練係りの教官ノーヴアク軍曹も手をやく暴れ者だつたが,あいつぐ訓練によつて海兵隊精神を叩き込まれてゆく.間もなく彼等は仁川に向つて出帆仁川の敵前上陸はこの世の地獄とも思える凄絶の戰場であつた.さすがに強がりのジミイも恐怖にとりつかれてしまう程であつたが.更に部隊は京城へ向つて前進した.廃墟と化した市街で,ある者はひそんでいたゲリラの不意の襲撃をうけたが弱気をはらいのけたジミイはその危機を救つた.南鮮の平和はその奮戰によつて守られたが,早くも次の命令が下りていた.前進,北鮮に攻撃を開始せよ!進撃は続けられた.行手にはソ連製の巨大な戰車が火を吐き,中共軍は遙かに数を増していた.損害を与えても与えても執拗な中共軍の抵抗は続く。海兵隊の奮戰はめざましいものがあつたが,彼等の力にも限界がある.そのままの状態では全滅だけの運命である.北鮮の山地は早や冬將軍の訪れとなつて白雪に蔽われてきた.荒涼たる山道に退却のトラツクの列が延々と続く.
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