講座
育兒指導の実際
佐野 保
1
,
石川 淳一
1
1東北大学醫学部小児科
pp.10-14
発行日 1954年6月10日
Published Date 1954/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200747
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はじめに
育兒指導といつても都市と田舎の場合とでは,大分趣きを異にする.これを一緒に論ずることは無理な場合がある.我々は保健所と協力して,ここ数年間,宮城県を中心として,東北各県にわたり,主として農村の多数の乳幼兒の育兒指導をしてきたので,農村に於ける指導を中心として述べてみる.都市の場合は別の機会にゆずる.
農村に於ける育兒指導は,大別して二つの場合に分けられる.一つは年1〜2回の,法律に定められている乳幼兒一齊集団検診であり,他の一つは,1ヵ月毎とか,3ヵ月毎とかと,一人の子どもを,毎年,頻回に検診し,指導の経過,結果を確め乍ら指導してゆく場合(我々はこれを育兒相談と假りに呼んでいる)とである.前者は子供の横の観察であり,後者は縦の観察である.理想を云えば,横と縦との兩面の観察指導を行うことができれば一番よい.外来での健康相談は縦の観察の場合が多い.ただし集団検診にしても育兒相談にしても,検診終了後には,必ず有能なる保健婦による事後指導が絶対に必要なことは云うまでもない.
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