講座
助産婦のための育兒相談室—發疹と子供の病気
木下 正一
pp.53-57
発行日 1956年4月1日
Published Date 1956/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201041
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
子供には発疹の現われる病気で注意を要するものが少くない.ハシカ,猩紅熱などは誰でも知つているその例である.こういうのは,全身病(多くは伝染病)であつて,その病状の一つが発疹として皮膚に現われるのである.この発疹の性質をよく見わけるならば,原病の診断上に大そう役に立つことがあるから,発疹のある子供を診せられた時には,よく次の点を問いただし,且つ観察して診断上の手がかりをつかむことを忘れてはならない.観察すべき要点というのは,およそ次の通りである.
(1)最初どこから現われはじめたか.(2)どんな速さで,どう拡がつて来たか.(3)散在性か,斑点状か,点状か,個立性か,融合性か.(4)色調は(真紅,薄桃色,紅褐色,など)(5)水泡,膿点,膿胞,かさぶた,かゆみ,などを伴うか否か.(6)発疹を指先又は硝子板などでおさえてみると,褪色するかどうか.(7)鱗屑があるかどうか,あるとすれば,何時頃から,どんな(粃糖様落屑,大板状落屑)性質のものか.(8)発熱を伴うかどうか.伴うとすれば,それと発疹との発現の時期的関係はどうか.
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.