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嬰兒籠と育兒
菊地 浩
1
1福島県相馬郡原町保健所
pp.41-44
発行日 1952年6月1日
Published Date 1952/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200125
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東北地方殊に山形,秋田等には,こけし人形,藁靴人形其の他郷土色豊かな名物の人形が多くありますが,それ等にまじつて嬰兒籠人形が店頭を飾つているのが目につく事でしよう。この人形は可愛いい赤ちやんが藁で作つた鉢の樣なものに入れられて大人しく遊んでいる状況ですが,私達は嬰兒籠人形を單に美しい,人形や玩具としてながめる前に,こうして朝から晩まで窮屈な世界にとぢこめられている乳幼兒が,発育上どんな不幸な目にあつているかを考えないでは居られません。
嬰兒籠は関東地方では「おはち入れ」,東北地方では「いづこ」,又は「えじこ」と呼ばれていますが,人形の樣に身体の自由を束縛されたまま暗い納戸の奧に入れられて居るのが普通です。こうして乳幼児を家の中におきますと,手数がかからず,見た目には安全でもあり,母親が日中田畑で働くのに極めて便利であるため,殊に東北地方の農村では多くの家庭で使用されています。
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