発行日 1949年7月15日
Published Date 1949/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906488
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わが國の看護婦は,非常に勤勉であり,仕事に熱心であり,その地位の向上に努力してゐる現状であるが,反省すべき問題が多い。看護婦は一般に醫療補助者として,多くの時間を過してゐて,看護それ自身の仕事の時間は少い。戰時中に於ける病院の醫師其他醫療補助者の不足は,特に看護婦を醫療補助者にしてしまつた。皮下注射,靜脈注射はもとより,時には輸血までやり兼ねなかつた。その氣風が看護婦とは醫療補助者であるかの錯覺を一般は與へた怪念が強い。從つて看護婦本來の使命であ看護は附添婦とか家人に委されてゐた状態であつた。現在この點は充分に反省されてゐることであるが,新しい日本看護界の發達の爲に常に心されなければならないことである。
看護婦が本來の使命である看護に專念するようにする爲には,看護婦それ自身の反省と同時に,看護婦以外のところに解決を求めねばならないことが多い、第一に醫師の問題である。醫師が看護婦を從屬物の如く取り扱ふことを先づ止めて貰はねばならない。醫師と看護婦とは對等の立場にあるもので,互にその立場を理解し,車の兩輪の様に,互に協力してゆく處に始めて人の治療効果が生れてくるものである。此のことに就て醫師の教育と醫師の考へ方の轉換が必要でめる。この第一歩として,今までなほざりにされてゐた,病院管理のことに就いての教育が實施せられねばならない。
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