原著
流行性肝炎に就て
北岡 正見
1
1豫防衞生研究所
pp.260-268
発行日 1948年9月25日
Published Date 1948/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200342
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まへがき 既に1世紀前から戰疫病として注目され(Bormann1)),研究されてゐたにも枸らず,未解決であつた流行性肝炎も今次世界大戰を機會として,漸くその病原體,感染經路等が闡明されるに至つた。即ち,今次大戰に於て,歐州(Stowman2))に流行が起り獨乙軍は東部戰線(Jacobi3),Nothaas4),Rüther5)),ルーマニア(Sonea6)),地中海沿岸殊にビリア(Hellmann7)),クレタ島(Markoff8-9)に於て,米軍10)は太平洋戰域(Ash11))竝びに地中海戰域(Barker12),Francis13)),Gauld14))に於て本病の流行に遭遇し,ここに歐米學者の懸命の努力と最近に於ける濾過性病毒學の進歩と相俟つて,本病の問題が急速に解決され始めたのである。
本病に就いては各國に於て既にそれぞれ綜説が發表されてゐる。就中,Bormann1)の報告は詳細を極め,著者15,16,17,18,19)も本病の歴史,流行病學,症状,感染經路,病原體,動物實驗について綜説をものし,その研究20,21,22)の一部は既に發表した。近年川崎市(今野23)),東北地方(田村24)),中國東三省(山田25))及び山東省(尾河26)),(大竹27))に於ける流行が報告されてゐる。因みにEppinger28)の單行本竝びにHavens9)の報告の一讀をすすめる。
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