銀海餘滴
流行性肝炎の予防
pp.640
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201888
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伝染性肝炎の自然感染を防止することは困難で,それは伝染源となる患者が気付かれずにいる場合が少なくなく,殊に前黄疸期に伝染性を有し,また罹患しても黄疸が必ずしも現われない不顕性肝炎,潜在性肝炎,慢性肝炎などは全く気付かれず,しかもこれらはヴイールス保有者,排泄者であり得るが,これを発見することは極めて困難なためである。自然感染の源と考えられるヴイールスに汚染された水,患者の排泄物の消毒は極めて必要であるが,実際には行われ難く,また極めて抵抗性が強いので普通の消毒法では毒力が減弱されない。家族内感染部落内感染が多く,殊に日本では井戸が不完全であり,また田舎では患者のところに集つたり,会食する習慣があるが,これも有力な伝染の元となるので改むべきことである。また潜伏期,発病6日前までにγ—グロブリンを注射すると約6〜8週間感染をさけることが出来ると云う。予防ワクチンは現在成功していないが,ヴィールスが分離され培養出来るようになれば将来可能性が考えられる。
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