音樂入門
名曲解説(第10回その2)
山本 金雄
1
1NHK合唱団
pp.50-51
発行日 1953年4月10日
Published Date 1953/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200497
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今月は声楽曲(但オペレッタを除く)と交響曲に就てお話致しましょう.
声楽を「オペラ」と「リード」に分けた場合の「リード」は声の美しさだけを目的としないでメロディー,リズム,ハーモニーと詩が平均して重要な要素とした美しさの曲で殊に詩を理解することが大切な事となつてまいります.イタリヤの歌で有名なものにカッチーニの「アマリリ」スカルラッテイの「菫」ドウランテの「おどれ優しき娘」マルティーニの「愛の歓び」ペルゴレーヂの「ニーナ」ジョルダー二の「カロミオベン」ベネディクトの「みそさざい」殊にこのみそさざいは,コロラチュア・ソプラノの有名な曲で鳥を表す為オーボーとフリェートの助奏がついて居て「春になつたらやつて来て歌をきかせておくれ,お前と一緒に若さと愛を歌おう」という意味の歌詞である.ドイツの歌曲は何といつてもシェーベルトより始まつて,リヒアルトシュトラウスに至る幾多の名曲があり,ベートーヴェンには「アデラィデ」「汝を愛す」「闇の奧津城に」「遙かな恋人によす」等すぐれた傑作があるが,ベートーヴェンは声楽曲は余り得意でなかつた樣で交響曲,ピアノ曲等に比べて質量共に劣る樣である.ベートーヴェン以前に於ては宗教曲,オラトリオに於てはモーツアルト,ハイドン,ヘンデル,バッハに傑作があるが,合唱の篇でのべたので割愛するがモーツアルトのアレルヤはイタリヤ風の華麗な曲で,オーボエの助奏がついているソプラノの曲である.
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