音樂講座
ポピユラー名曲12章の内—民謠篇(その2)
山本 金雄
pp.42-44
発行日 1955年3月10日
Published Date 1955/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200920
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2月号にアメリカ民謠を御紹介したので,今月は先ず大西洋を越えて,イギリスへまいりましよう.イギリスは伝統のある古くから隆えた国だけあつて,民謠も非常に沢山あります.殊にイギリス民謡の場合は,国がアイルランド,スコツトランド,イングランドと分れている樣に民謠も3つに大分する事が出来ます.
先ずアイルランド民謠には,日本の国へ明治20年頃伝わり70年間も唱われ,然も「庭の千草」という題名で有名なThe last Rose of Summer「夏の残りのばら」があります.この曲はアイルランドに古くから伝わつた民謠のメロディーに19世紀に有名な詩人トーマス・モーアが歌詞を新しく付けたものが,現在迄唱われて居りますもので,美しく咲いていたバラの花が段々散つて,一輪だけ残つている.その一輪に向つて別れの悲しさを歌つた愛情の歌であります.この曲はフロトーの作つたオペラ「マルタ」の中にも使われている爲,そのオペラの中の独唱用の伴奏がそのまま民謠の伴奏として使われております.
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