音楽講座
名曲解説(その3)
山本 金雄
1
1N・H・K合唱団
pp.60-62
発行日 1953年5月10日
Published Date 1953/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200520
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器楽曲および歌劇オペレッタ声楽曲について
先ず管絃楽曲に就てお話致しましよう.交響曲がソナタを管絃楽に直したのに対し,標題音楽や自由な形式のもとにつくられた管絃楽曲でヘンデルが殿様の怒りを和げる為に,水上の園遊会の為に作曲したといわれている「水上の音楽」や,メンデルスゾーンがが17才の時シェクスピアの戯曲にもとずいて作曲した「眞夏の夜の夢序曲」があり,森をさまよう妖精の音楽や,農民達の馬鹿騒ぎの行進曲や莊嚴な結婚行進曲等から出来ている.又ヨハン・シュトラウスは「美しき碧きドナウ」の他「皇帝円舞曲」「ウィンの森の物語」等一蓮のウィンナワルツを作曲し,ビゼーにはアルフォンス・ドーデーの戯曲「アルルの女」をもとにした組曲があり,ドビュッシーにはマラルメの詩「牧神の午後」の持つ情緒を管絃楽曲にした「牧神の午後」への前奏曲があり,ムゾルグスキーのピアノ曲をラヴェルが管絃楽に直した「展覽会の絵」は現在非常によく演奏される.
次に室内楽の各曲についてお話しする前に室楽とは貴族のサロンで演奏された事からいわれる様になつたもので,大きな演奏会場で演奏するより,小さなホール向に小人数で楽しめる様に作られている.その取扱いも和声的というより,各々の楽器が独立してお互に関係をもつている.室内楽を絵画に例えれば,線と形にあたり管絃楽が音色で補うことが出来るのに対し難しさがある.
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