講座 二頁の知識
アンタビュース
高橋 宏
1
1東京大学神経科
pp.20-21
発行日 1953年3月10日
Published Date 1953/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200471
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アンタビュースとは,デンマークのヤコブセン等が1948年にTetraethylthiuram Disulfideという合成化学藥品の実験中遇然発見した,人体のアルコールに対する耐性を低下するというその特異な性質に対して附けた名称である.すなわちアンタビュース(Antabuse)というのは,(酒の)「濫用」に「抗するもの」との意味であり,この藥品を服用すれば,多量の飲酒に堪えられなくなるその主作用を表わしているのである.
アンタビユースは淡黄色の結晶性粉末で,殆ど無味無臭であり水には極めて溶け難い.腸管からの吸收は速やかでその排泄は比較的遅く,経口的に攝取されたアンタビユースの作用は,数時間で現われ,その後数日間存続するもののようである.
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