読者からの手紙
再び仕事の中核となつて
旗野 しげ子
pp.9
発行日 1960年6月10日
Published Date 1960/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202101
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もう17年も前のことですが私が保健所に勤務していました頃でした.戦時中ですから色々と上の方からの命令があつて,保健所はそういう命令に従つた仕事をするのに大童でした.所長さんは,全く公衆衛生的な考えをもち,管内の市町村民がよろこんで公衆衛生事業に参加し,保健所と提携して自分達の生活を改善してゆくように保健所は働きかけるべきであるのに,こう上からの仕事ばかり来ては,保健所としての計画が何にもできないではないかと,なげいておられました.
毎年3月のはじめに,町村ごとに,それぞれの役場や学校などで,計画について検討する会が開かれ,保健所と町村の当局者,町村民の部落組織の代表者,学校長が寄り合つて1日中協議が行われました.こういうやり方で仕事をしてゆくためには,上から下つてくる仕事を極力最少限度に喰い止めなければならなかつたのでしようが,このことについて所長さんは大変シンが強く,県の衛生課の覚えが悪いことを,事務主任や指導員の人達がそれとなく心配をしておられたようです.私はこういう保健所で働らいているうちに村で働らくことに興味をもち,保健所を2年でやめ遂に管内の村に就職しました.
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