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公衆衛生の動き
pp.50-51
発行日 1952年11月10日
Published Date 1952/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200404
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厚生省結核療法研究協議会では結核新薬イソニコチン酸ヒドラジッドの治療効果について第1回の発表を行つた。これによると患者総数の約1/3は症状が軽快したが多少作用が異なるにしても従来のストレプトマイシンやパスと比較して著しく効果が大であるとは考えられない。たゞ副作用は割合に少くイソニコチン酸ヒドラジッドを用いたために反つて症状が増悪した例はないようである。しかし大して長期間にわたつて使用事しないにも拘らず耐性菌の発現をみているので使用には充分の注意が必要であらう。あれほどまでも世間を騒がせた新薬も結局は評判倒れに終った感がないわけではない。歴史的にみても結核の特効薬は何百回何千回と現われては消えて行く。実に難かしいものである。イソニコチン酸ヒドラジッドも厚生省からいち早く許可され一部からは相当心配をされたがこの点についてはそう問題はないようである。しかし健康保険の適用になるかどうかについては今もつてはつきりしない。
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