講座
日本の便所
高野 六郞
1
1北里研究所
pp.14-17
発行日 1952年9月10日
Published Date 1952/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200351
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大小便は人体排泄物の中でも最も危険でかつ最も量が多いから,その始未は衛生上の重大問題である。衛生文化の進んだ国民はまず大小便の始末を衛生的に考えるが,わが国では大小便を主として肥料利用の点から考え,大小便によつてひき起こされる衛生上の危害をほとんど顧みなかった。そして現在の日本の如く消化器伝染病と寄生虫病の蔓延を見たのである。日本の便所が衛生学的に改良されない限り,日本はいつまでも赤痢,腸チフスの国であり,寄生虫の国であるととを免れることはできない。消化器伝染病の治療藥や駆虫劑の進歩だけでは解決ができそうもない。
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